1/4 発見判明 「おい、秋仁」 机の上の書類を片付けていると、先輩の清次さんが肩を叩き、机の上に珈琲が入った紙コップを置いた。 「有り難うございます」 お礼の言葉と同時に紙コップに手を伸ばし、珈琲を軽く胃に流し込むと温かさが身体を巡り、同時に安堵からかの溜息を吐き出してしまう。 「加藤啓太の遺体が見付かったそうだな」 清次さんが机の上の書類を一枚取り、溜息混じりに言葉を漏らす。 「えぇ…お腹をぐさりと…出血死だったみたいですね」 「犯人は?」 「まだ解りません。指紋や何か痕跡が無いか調べてるみたいですが、高西さんは絶望的だ。って言ってましたよ」 ふーむ。と唸りながら頭を掻く清次さん。 大ベテランの刑事、清次さんも今回の殺人事件はどうも腑に落ちないらしい。 この事件が発覚したのは先日の正午だった。 椅子に縛られ、腹部を刺された加藤啓太の死体がとあるデパートの男子トイレから見付かったのだ。 「どう思うよ、秋仁」 「解りませんね。あまりにも綺麗に殺人事件過ぎますからね。まるで…」 「まるで?」 「テレビの中の殺人事件みたいですよね」 |