ザ・ダークマター
[第10章『snitching』](1/3)

 銀河系から遥かに遠く、5000万光年離れたレンズ状銀河。


 その中心近くに大暗黒帝国ダークの母星はあった。

 大きさはかなりのもので、太陽系の木星をはるかに超えていた。

 その形相は星というにはあまりに醜かった。

 それはもはや球体ではなく、建て増しに建て増しを重ね非常にグロテスクな感じであった。

 例えていうなら子供が粘土遊びをし終わり入れ物に入れる前、ペッタンペッタンとグーで叩いて小さくしたような形状だ。

 超高層なビルが建ち並び、雲丹(ウニ)のトゲの様に宇宙空間に伸びている。


 ダーク星人は驚くほど太陽系の人類と酷似していた。

 違うところといえば3メートルを超える身長と、その他に肌の色が真っ赤であり、そして頭髪や陰毛などの体毛が全く見られないところだった。

 さらに彼らは衣服のたぐいをいっさい着けていなかった。

 その目は極度につり上がり、鼻は非常に高かった。

 口は左右に大きく開かれ、その口の中には肉食獣の牙を思わせる巨大な犬歯があった。

 彼らの文明は非常に残虐で、例えを一つ上げるとすれば、その食文化だろう。

 侵略した星の住民を徹底的に痛めつけたあと、頭からガブリと食らい付いた。口内でビチビチと跳ね回る身体が動かなくなったのを知ると、咀嚼して飲み込むのだ。


 その星のある地区に皇帝の住む、非常に巨大な宮殿があった。

 宮殿といっても装飾品などはいっさいなく、その代わりに高性能な機器類が城内を占めていた。



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