ザ・ダークマター
[第2章『疑惑』](1/9)

 対外宇宙対策本部の執務室。オリヴァーがパソコンでニュースを読んでいる。


 “Wiiin……”

 入口が開いてセイレーンが入ってきた。
 その後ろをコロコロとスナッチが着いてくる。

 「大佐、おはようございます」

 「おはよう。いつも早いね」

 「いえ。コーヒー、おかわりなさいます?」

 「いただこう」

 「了解いたしましたわ」

 彼女は薄桃色のコートをハンガーに掛け、自分のパソコンの電源を入れてからトップの席まで行き、空になった彼のマグカップを持ち上げた。

 オリヴァーはパソコン画面を見ながら視野の届く範囲で彼女の様子を窺(うかが)った。

 しかし特別に変わった様子は見られなかった。


 「おはようっす」

 「おはようございます」

 シュウとサンが相次いで入室した。

 セイレーンは立ち上がり、二人にコーヒーを飲むかどうかを聞いた。

 「いつも悪いね」「ありがとうございます」

 「気にしないで」

 セイレーンはハスキー掛かった甘い声で言って、二人のマグカップをキッチンスペースの自動洗浄機からコーヒーミルに移してスイッチを入れた。

 出来上がったコーヒーを四角いトレーに乗せ、執務室に戻ってきた。

 彼女はそれぞれのデスクに置いて自分の席に戻った。

 トレーは自分の机の下に立て掛けた。
 
 「おう」「いただきます」

 二人は熱いコーヒーを注意しながら一口啜(すす)った。
 
 それを待ってオリヴァーが声を出した。

 「朝礼を始めよう」







 

 




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