名前で呼ばないで。

V[どうしてこんなことに](1/11)





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絢を好きなまま、
季節はずんずん流れていってわたし達は三年生になった。


なんて時が経るのは早いのだろう、とわたしは恨めしい気持ちになる。


4月、新学期が始まったが、絢とわたしはクラスが離れた。


とうとう、高校生活3年間、絢とわたしは同じクラスにはなれなかったというわけだ。


なんて、…なんてことだ!


クラス発表の日、
わたしは分かりやすく落ち込んだ。


同じクラスになった莉紗に「そんなに私と一緒は嫌なの〜?」と泣き真似をされたくらいだ。


…まあ、元々わたしはすぐ鬱に陥る性質があったので、こんな事態は珍しくもなんともないのだが。

わたしがクラス替えを不服に思っていることは、周囲の人々にも明らかに伝わっていたらしい。


情けない。
こんな年にもなって、子供のように拗ねてるなんてみっともないと自覚はしている。

 しかし、絢とクラスが離れてしまった事実はどうしたって変えることが出来ないのだ。それを思うと胸がぎゅうっと締め付けられて堪らなく苦しい。


「わたし、何か悪いことしたかな……」


 隣に座っていた莉紗が、

「藤野、まじで私と一緒嫌なの?」

と顔をしかめてぼやいていた。






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