Rise/初恋を実らす
†1†[夢の次は現実。](2/3)




「でも珍しいよね。桂が学校で深い眠りに入るなんて」


徐(おもむろ)にそんな事を言う沙衣は教壇の目の前にある自分の机に掛けてある鞄を取る。


そしてゆっくりとだが確実に私の席へと歩んで来た。




「寝れてないの?」


ジッと目を向ける沙衣の声は綺麗な夕日から闇色に変わる空のように重みを増した。



「桂?」


子供の言葉を促すように聞く沙衣の目は普段より真剣で…


少し、私を困らせる。




相変わらず鋭い。


沙衣は私自身すら気付いていない私の変化をいち早く察知する。


それは小学校からの付き合いもあってか長年培われた勘の様なもの。


だから、厄介なんだ。


私が幾ら大丈夫と言っても納得出来ないと顔で表す。



ごまかすにしても、話を逸らすにしても沙衣は見過ごしてくれるほど甘くはない。



「ハァ…」


「桂、ハッキリ言って」



沙衣は見た目や雰囲気でのんびり屋さんで単純そうに思われがちだけど



その真逆。



理屈っぽい所もあるけど洞察力は中々鋭い。


その上…頑固さも兼ね備えてある。



そうくると納得させるには中々手強い。




「……いつものやつだよ」



この時期。


夏から秋に移り変わる時期に私が寝れなくなるのは昔から。


昔と言ってもこの5年くらいの話だけど。


けどその原因と理由を知ってる沙衣にこの短い言葉で済む。





そう思ってたけど……



「まだ何か隠してるでしょ?」



長年の勘と鋭い洞察力によって簡単に打ち砕かれた。





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