覚醒されていく私の本能
[先輩の弟くん](1/10)




ある日、芳村先輩の家から帰るところだったんですが、その日は既にテストが終わっていて、夏休みの前だったんです。


だからわりと早い時間に帰ることになったのです。


それでも、午後3時ぐらいでした。


帰りに電車に乗るので駅に向かう途中で、知らない男の子に後ろから声をかけられたのです。


『すいません。ちょっといいですか?』


振り返って見ると、周りには私しかいなくて、返事をしました。


『え?私ですか?』


その子は見た目は真面目くんという感じで、大人しそうな男の子でした。


『はい。あなたですよ。』


『はぁ、なんでしょうか?』


普段できるだけ、大人しい自分を装っていたので、私は俯きがちに返事をしたのです。


その子は私に近付いて来て、耳元でこう言ったんです。


『ねえ、あんた兄貴の彼女?』


『‥‥‥え?』


思わず顔を上げると近い距離に顔があったので、驚いてドキドキしていたのですが‥‥


彼氏はいなかったので、首を傾げながらもドキドキが止まらなくて‥‥


顔が赤くなって来たのが自分でも分かったので、もう一度俯きました。


すると、彼は笑いながら更にこう言ったんです。


『あんた兄貴の彼女じゃないの?さっきまで兄貴と何してたの?』


『‥‥‥え?』


驚いて顔を見上げると彼はニヤリと笑っていて、芳村先輩の弟なんだって理解した。


『俺さあ、普段は塾とかで遅いんだけど、たまに早い時間に家にいたんだよね。』


『芳村先輩の弟さん?』


『そう。康輝、来年高校生になる。』


『そうなんだ‥‥』


『あんたさ、あんなエロい声で、受験生の欲望煽られたら困るんだけど?怜那さん。』


『あの‥‥ごめんなさい‥‥知らなかったの‥‥』


『何が知らなかったの?』


耳元に息を吹きかけるように話されて、私の身体がビクッと反応してしまって‥‥


『ちょっ、待って。誰もいないって思ってたから‥‥っ』


話してる最中に耳をペロリと舐められてしまって、更に反応してしまう‥‥




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