ピエロ・ゲーム
†10[呪われた子](1/15)
「キャアアアア!!」
二人は道に倒れている首なし死体を見つけて、悲鳴を上げて迂回した。
覚めない悪夢の中に閉じ込められている。
そんな気がしてならない。
ハヤトの姿はどこにもなく、美百合は途方に暮れていた。
「ハァ……。ちょっと休憩しようか?喉渇いたね」
「あ、見て!売店が開いてる」
菜央は売店を指差し、駆け寄っていく。
缶ジュースを2つ取り出し、カウンターに小銭を置いた。
「はい、どうぞ」
「あ、でも私お金が……」
「いいって。助けてもらったお礼!」
菜央はウインクすると、喉を鳴らしてジュースを飲み始めた。
よほど喉が渇いていたのだろう。
美百合もプルトップを持ち上げて、缶ジュースを口に近づけた。
「……ぐはぁッ!!」
突然、菜央がジュースを噴き出して倒れ込んだ。
胸を掻きむしりながら、苦しそうにもんどり打っている。
「菜央!どうしたの?菜央っ!」
「うぐっ……ぐぅおぇえッ」
美百合の呼びかけにも応じず、菜央は口から泡を吹いて白目を剥いた。
まさか、ジュースに毒が仕込まれていた?
私たちが飲むことを見越して。
「菜央っ……。どうしてこんな……ひどい!」
美百合は缶ジュースを投げ捨て、動かなくなった菜央の青白い顔を見つめたまま立ち尽くした。
地面に広がる液体に、無数の小さな泡が浮かんでいた。
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