ピエロ・ゲーム
5†[魔性の女](1/17)
クイーンと呼ばれるたび、彼女は血が沸き立つのを感じた。
夜には女王様の格好で、軟弱な男を拷問にかけることもあった。
アタシってイケてる。
鏡の前でメイクを施しながら、自分の整った顔を満足げに見つめる。
今日の衣装は、金髪のウィッグにヒョウ柄のボディスーツ。
黒の革手袋を着けた手で、煙草に火をつける。
立ち上る紫煙の向こうに、人影が現れた。
「クイーン、今日のお客は上物だってさ!キングの調達だから間違いない」
オーバーオールを着たジャックがポケットに両手を突っ込みながら、嬉々として言う。
クイーンは冷めた目で彼を一瞥すると、気だるそうに煙を吐き出した。
「……そんなことよりジャック。何よ、アンタのその格好は?」
「え、これ?変かなぁ。外国の子供みたいで可愛いじゃん!」
ジャックは無邪気さを装って、くるりと回転して見せた。
これが『赤いピエロ』メンバーの残酷度ナンバー2なんだから、目も当てられない。
クイーンは会話をするのもバカバカしくなり、鏡台の前から離れた。
ゲームまでまだ時間がある。
会場に行く途中、休憩所でコーヒーを飲んだ。
建物の中はテレビゲームに出てくるダンジョンのような複雑な構造で、セキュリティーも厳重だった。
ヒールを鳴らしながら、薄暗く長い廊下を突き進んで行く。
黒い扉の前で立ち止まると、クイーンはIDカードでロックを解除した。
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