殺し屋逃避行



1.殺し屋さん(1/17)





季節は梅雨。

ずっと降り続く雨をあたしは傘の下からじっと見つめている。





砂浜に打ち上げられる波の音と海面に打ち付けられる雨の音を聞きながら、あたしは小さな小瓶を海に向かって転がす。


灰の入った小瓶は、すぐに波にさらわれていった。








「おい、行くぞ。」




あたしを見ていた殺し屋さんが声をかけ、車に向かって歩いていく。


あたしは名残惜しそうに流されていく小瓶を見つめ、立ち上がった。





ここにはきっと戻ることはない。




拳をギュッと握りしめ、あたしは殺し屋さんの後を追った。





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