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●スイートホーム
(1/12)◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「着いた。ここ」
陸と連れ立って来たそこは…
─やっぱりか。
諦め半分に昨日も見た、赤い屋根の家を見やる。
まあ、杏と2人でいた時点で言い逃れできない状況だけど。
やっぱこれ、陸んちだったのか…。
複雑な気持ちで家を見上げていると、
「早く入れよ」
陸が鍵を開けているところだった。
「え、陸て鍵っ子? じゃあ今家に親いないの? つか、陸に親いんの!?」
矢継ぎ早に質問を浴びせる。
「陸みたく性格歪んでる人って、小さい頃に両親失って孤児院で育てられて、今は一人暮らしとかしてたりするもんだよね。あ〜なるほど」
「お前、なに勝手に納得してんの」
陸に親がいない→家に女連れ込んでも文句言われない+小説的にOK!!
私がうんうん頷いてると、陸がぺんっと頭をはたいた。
「何す…!」
「家にはお袋がいるよ?」
「……へ?」
「つか、誰が俺に親がいないっつったよ。親父もいるっての」
「え…まじ……?」
「こんな歳で一人暮らしってありえねーだろ。ドラマ見すぎ」
「…なぁんだ……」
「ま、あいにく親父は仕事だけど」
でも、それなら杏のことは親になんて言い訳してるんだろう。
色々考えて悶々してるうちに、陸がドアを開けた。
「ただいま」
「あ、陸? お帰りー………」
奥のドアから出てきた、陸のお母さん。
どっちかって言うと可愛い系のお母さんで、エプロンが似合ってる。
陸の隣にいる私に気づき、驚いて動きを止めた。
「え…と、陸?」
訳の分からない陸ママは、陸に説明を促す。
そりゃあそうでしょうよ。昨日とは違う女の子連れて来たんだから。
私は陸を見上げた。
陸は真っ直ぐお母さんの方を見て、躊躇なく口を開いた。
「桃。俺の彼女」
「…ぇ、あっ…安西桃です。初めましてっ」
焦って慌てて自己紹介。
「…彼女」
陸ママはびっくりした表情で、そこだけ復唱した。
心臓がバクバクしてる。
─だって、誰かのお母さんに彼女ですって紹介されたの、初めてだし……。
「…まあ…、陸が彼女なんか連れて来たの、初めてよ! 桃ちゃん、よね? こっちいらっしゃい」
どうなることやら心配していたけど、陸ママは優しく笑って私を案内してくれた。
「ありがとうございます…」
お礼を言いながら、頭は既に違うところへ。
初めて?
彼女を連れて来たのが?
じゃあ…昨日の、
杏は?
杏はなに?
陸ママは、杏がここに来たの…知らないのかな…?
様々な疑問が飛び交う。
その時、陸が私の腕を引いた。
「や、お袋良いよ。勉強会するから俺の部屋連れてく」
「そう? じゃあ後でお菓子でも持って行くね」
「うん。サンキュー」
陸は悪戯っぽく笑って、私の腕を取ったまま階段を上り始めた。
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