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●ギミック
(8/8)◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
私のことは忘れたみたいに、一歩先をすたすた歩いてく陸。
黙ってついていく私。
微妙な距離。
─…もしかして陸んちでも、ずっとこんな感じなのかな…
私は小さくため息をついた。
てか、まず何で私を家になんか呼んだのよ?
しかもこんなテスト前の大事な時期に!
「おい。聞ーてんのか」
「ひゃ!?」
心の中で陸に対する怒りを募らせている間に、声をかけられていたらしい。
顔をのぞき込まれ、私は焦る。
「別になにもないよっ…」
「ふうん? 陸ムカツクって顔に書いてあるけど」
「え゙っ」
ばっと頬を押さえた私に、陸はくすくす笑いながら。
「図星かよ」
「…違うもん…」
頑張れ私!
負けるな私!
昨日の出来事を思い出せ私!
「まあ良いや。さっきから聞いてんだけど、アイス買ってくか?」
「アイス?」
気づかないうちに、昨日未来と来たアイス屋さんの近くまで来てたみたい。
…ってことは……
あの赤い屋根の家は、やっぱり陸の家……?
「おい。聞いてっか?」
ぐいと頬を引っ張られた。
「聞いてるよっ。…どうせ、私におごらせるつもりでしょ?」
「ぷっ」
陸が吹き出したから、私はむっとして、
「なに…」
「お前、被害妄想、激しすぎ」
「な、」
「仕方ないですね、今日だけはこの僕がおごってあげます」
今こいつ…
一瞬、聞き間違いかなって思うくらい、聞き捨てならないこと言った。
「……まじ?」
「嘘。俺様におごらせようなんて良い度胸だな」
「もう良いよ(怒)!」
私はむすっとしてアイス屋さんから離れた。
「あ〜、まじお前おもしれぇ」
「ひ、人で遊んどいて面白いってアンタは…!」
「はいはい。待ってて下さい、お姫様…」
陸は自分の荷物を私に持たせて、駆け出して行く。
暫くして帰ってきて、アイスを私に差し出した。
「ん。…桃の分」
「あぁー!! 新作だ、新作!」
不覚にも…
すぐ飛びついてしまった。
「がっつきすぎ(笑)」
「だって…これ、昨日売り切れだったんだもん」
自分で言ってからハッとした。
私ってば、なんて迂闊なカミングアウトを…!
しかし陸は動揺の欠片も見せなかった。
「うまいの? ちょっと頂戴?」
私の手のスプーンを奪い取ってぱくっと一口。
「ぎゃぁああ!! そ、そのスプーン私が食べ…!」
「ん。うまい」
再びカップのアイスにスプーンを刺すと、陸は勝手に歩き出した。
わ、訳の分からんやっちゃ…。
ぽかんと見つめてると、陸が振り返って手招きした。
「おいで?」
「……っ分かってるよっ」
あいつのペースに巻き込まれちゃダメだ。
昨日のショックを思い出せ。
遊ばれてること…腹立ててること、思い出すんだ…。
─よし。
私は駆け出した。
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