falsehood

\[苦しむ者・諦めない者](1/28)



あれから暫く経った。


世の中はすっかり長袖だ。


撮影も、変わらず牛歩で進んでいる。


そして心配していた事は……、今のところ何もない。


だとしたら、あれは何だったのだろう。


ただの報告か。


しかし私には良からぬことの前兆にしか思えない。

あんな奴等に負けはしないけれど。


「ねぇ結愛、今日は仕事ないんでしょ?放課後遊ぼうよ!」


授業の休み時間。

しつこく迫ってくるのは、相変わらずの伊鶴。


「無理よ。今まで学校に来れなかった分の授業を取らなくてはいけないのだから」


一応、模試と定期テストで点数を取れたなら、出席日数を増やしてもらえるらしい。


2学期に入ってからというもの、欠席ばかりであったからありがたい話。


尾形もそうらしい。


だからこそ、こうして学校に来た日は勉強しなければならない。


「そんなの、私が教えるのにー」

「はいはい、また今度ね。尾形と約束しているのよ」

「なら私が2人に教える!」

「あんた、仮にもカップルの私達の間に入るつもり?」

「うん。だって仮は仮でしょ?偽りなんだから、2人は何も困らないじゃん」


伊鶴はそう言って、可愛らしく笑った。





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