falsehood

[[泣く者・伝える者](1/28)




「あーもー、イライラする!」


ハルは声を上げた。


昼の休憩中だとは言え、スタッフや共演者からの視線を諸に受ける。


すぐに外されはしたけれど。


「……突然何よ」


昼食を終え、台本を読んでいた私は眉間に皺を寄せた。


「鬱陶しいの!よく分からないことでずっと口聞いてなくて!
間に挟まれてるこっちの身にもなってよ!」


そう言って、ハルは口をへの字にする。


こっちの身にもなれ、ね……。


あれから1週間が経った。


相変わらず撮影は進まず、先伸ばしや翌日にも回っている。


私に対する厄介も、懲りずに続いている。


そして、私とソウも。


あれから一言も口を聞いていない。


もうその理由が見えなくなっていたけれど。

私も、多分ソウも、話し掛けたら負けという可笑しなプライドが、元の仲に戻ることを邪魔するようになっていた。


最早意地の張り合いだ。


だからハルが声を上げたことに言い返す事が出来なかった。


「……何でこうなったの?」


荒れているハルの一方で、尾形は恐る恐ると言った感じて訪ねてくる。


私はソウを見て、するとソウと目が合ったのだけれども。


目が合った否や、互いに睨み合ってからそっぽを向いた。





- 154 -


/320 P




⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?

◆◇

back