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泣く者・伝える者](1/28)
「あーもー、イライラする!」
ハルは声を上げた。
昼の休憩中だとは言え、スタッフや共演者からの視線を諸に受ける。
すぐに外されはしたけれど。
「……突然何よ」
昼食を終え、台本を読んでいた私は眉間に皺を寄せた。
「鬱陶しいの!よく分からないことでずっと口聞いてなくて!
間に挟まれてるこっちの身にもなってよ!」
そう言って、ハルは口をへの字にする。
こっちの身にもなれ、ね……。
あれから1週間が経った。
相変わらず撮影は進まず、先伸ばしや翌日にも回っている。
私に対する厄介も、懲りずに続いている。
そして、私とソウも。
あれから一言も口を聞いていない。
もうその理由が見えなくなっていたけれど。
私も、多分ソウも、話し掛けたら負けという可笑しなプライドが、元の仲に戻ることを邪魔するようになっていた。
最早意地の張り合いだ。
だからハルが声を上げたことに言い返す事が出来なかった。
「……何でこうなったの?」
荒れているハルの一方で、尾形は恐る恐ると言った感じて訪ねてくる。
私はソウを見て、するとソウと目が合ったのだけれども。
目が合った否や、互いに睨み合ってからそっぽを向いた。
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