falsehood

X[働く者・疑う者](1/11)



「陽向さん!お久しぶりです!」


前の仕事を終えてスタジオに行けば、待ち迎えて居たのは尾形和晃。


飼い主を待っていた犬のようにしか見えない。


「また陽向さんと仕事出来て嬉しいな」


擬態語で例えるならば、デレデレ。


今奴はそんな顔だった。


それに比べたら、尾形和晃の後ろに居る篠賢誠は物凄く知的に見える。


……例えば話だが。

こいつが知的に見えるなんてあり得ない。


「私も嬉しいよ。和晃くんも、賢誠くんも宜しくね」


そう言って笑えば、2人共に笑みを浮かべた。


今日はお盆明け。


今まで私の時間が取れず、撮影の暇が無かったのだ。


今日も、ほとんど無理に入れたようなものだけれども。

だから今日も夕方の撮影だ。


しかし1度撮影が始まってしまえば早い。


撮影は時間を取らず、終わった。


そしてお決まりの。


「陽向さん、今日は聞いてほしいことがあるんだ」


と笑顔の尾形和晃。


……私はあんたの話には興味ないってのに。


と思いつつも、

「じゃあ楽屋でお話しよう」

と言った。


さて、今日は何時に帰れるかしらね。





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