falsehood

W[知らない者・自覚する者](1/21)
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直感的に、ハルは考えなしのことを言うと思った。


今、物凄く篠賢誠に怒っているもの。

まぁ、理不尽に怒っているというのは私もソウも分かっている。


……今は言いたいだけ言わせておいて、ハルはソウに任せよう。

ソウならこっぴどくハルを叱ってくれるだろうから。


篠賢誠は私で何とかなるはずだ。


唖然としている篠賢誠には気付かれないだろうけれど、ソウに向かって人差し指を口に付けて合図する。

察しが良いソウは頷いた。


「ねぇ君。ヒナが優しくしてくれるからって調子に乗らない方が良いよ。
君みたいな奴を嫌う人、少なくないんだからね」


内心で溜め息を吐く。

たぶんソウも私と同じことをしているはず。


けれども何も知らないハルは不機嫌に言った。


「ソウ、もう行こう」

「は?図書館はまだ先だぞ」

「もういい。ムシャクシャするからカラオケにでも行こう」


……相当な王様気取りね。

本当に機嫌が悪い。


ハルはソウを置いて、先に電車を降りる。


「待てよ、ハル。……あぁ、ったく。
ごめん、ヒナ。また連絡する」

「分かったわ。だから取り敢えずハルの機嫌直し宜しく」

「了解」


じゃあ、と言って、ソウは忙しく電車を降りた。


さて、私は私の仕事がある。







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