コード:ブラッド
[友達T](1/11)



その昔。

まだこの都市が出来たばかりの当時。

ある家庭に産まれた少女の話だ。


その少女はある家庭に一人娘として生まれた。

少女は本当に小さい頃から近所での評判も良く、みんなの人気者だった。


家族は父と母と三人。

父はこの街の大企業に務める研究員で、母も同じ会社に通う研究員だった。


父は、強く、かっこよく、いつも遊んでくれて。

母は、優しく、綺麗で、料理が上手、



__“だった”



これは、少女が小学生になった時のお話だ。

その日も父に買って貰ったピカピカのランドセルを背負って学校に登校した。


いつもと何も変わらない日々。

同じような時間を永遠と繰り返しているようなマンネリな毎日だったが、学校の友達や近所の人、父と母と居られるのが何よりも楽しい時間だった。


そんな時だった。


その日、学校では一年に一度行われる健康診断をやっていた。


「ふむ......」


少女の診断結果を眺める医師は神妙な面持ちで頷いた。

白衣の袖から出ている医師の右手は、義手だった。

年齢までは言い当てられないが、父と同い年のような感じがした。

それでも、憶測だ。


「お嬢ちゃんは面白い素質があるんだね」

「素質ってなあに?」

「そうだね、当ててあげよう。キミには沢山のお友達がいるんじゃないかな?」

「うん!いーっぱいいるよ!だってわたし、人気者だもん!」

「ははは。そっかそっか。明るくて元気な子のようだね」

「せんせー。なんでわかったの?」


医師は顎に義手の手をやる。


「んー、キミの健康な体と、見た目の雰囲気を察して分かったんだよ」

「すごい!お医者さんってすごいんだね!」

「ありがとう、お嬢ちゃん。
いつまでもその笑顔を忘れないようにね」


その笑みはどこか不気味で、口の端を吊り上げ、少女を見つめていた。



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