俺、女の子になっちゃいました
[三人の幼なじみ登場](1/1)
とうとうこの日がやってきてしまった。
女の子として、俺、学校デビューします。
その前に、難問が一つ。
俺と柚葉には、幼なじみが三人いるんだけど、ソイツらにバレないことが、百合江さんから与えられた試練だった。
緊張しながら外に出て、俺は、息を大きく吸い込んだ。
「柚、オッス。あれ?桐は?」
1人目は、甲斐湊斗。
「…うん……。桐ちゃんは、外国にいる両親の所へ行っちゃたの。」
「えっ?それ、本当なの?一言ぐらい、俺たちに言ってくれてもよかったのに……。」
2人目は、雪名陽。
「何せ、急だったから……。みんなによろしくって言っておいてって言ってたよ。」
柚葉が、男の俺がいなくなった理由を説明した。
いきなり俺が消えたら、誰だって不思議に思うよな。
外国にいる両親よ、感謝。
そんな風に思っていたら、湊斗が、柚葉の後ろに隠れるように立っていた俺に気づいた。
「あれ?柚、この子誰?」
「…あぁ……。塚原桔梗ちゃん。私の親戚の子で、家に居候することになったんだよ。」
「へぇーっ。そうなんだ。あっ、俺、甲斐湊斗。よろしくな。」
「…………。」
俺が、黙っていると、
「湊斗、その初対面の人に馴れ馴れしくするクセ直せよ。」
すかさず、陽が助け船を出してくれた。
相変わらず、陽は優しいな。
「えーっ、いいじゃんかよ。なっ、政宗?」
「…………。おはよう、柚葉。」
湊斗の問いかけには答えず、柚葉にだけあいさつした政宗。
本当、政宗は相変わらずだなぁ。
3人目は、安曇野政宗。
この三人が、俺と柚葉の幼なじみ。
実は、三人とも、柚葉にベタ惚れしている。
小さい頃から、柚葉一筋だ。
俺は、そんな三人をよーく見てきたから分かる。
しかし、柚葉のほうはというと、三人の気持ちに気づいているのかどうか、分からない。
とにもかくにも、複雑な関係が続いているわけだ。
しかし、その数日後、俺たちにショッキングな出来事が起こる。
この幼なじみ三人の長年にわたる恋路が、いっぺんに引っくり返ることだった。
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