俺、女の子になっちゃいました
[俺は『塚原桔梗』@ ](1/1)
「…しかし……、アンタ、柚葉顔負けの超美少女になったものね。」

百合江さんが、しみじみと呟く。

「今は、そんなことは、どうでもいいんだよ、百合江さん。俺、どうすればいいんだ?」

「そんなことって、女は顔が命よ。」

「百合江さん。」

「百合ちゃん、桐ちゃん、どうなっちゃうの?」

俺と柚葉が、真剣な表情で、百合江さんに詰め寄った。

「んーっ。こうなったら、しばらくは、女の子の生活をエンジョイしてみたらどう?」

「…女の子の生活って……、百合江さん、俺、男なんだよ。そんなの嫌だよ。」

「そんなの仕方ないじゃないの。今は、女の子なんだから……。」

「それ、私、賛成。」

えっ?

柚葉まで、何言い出すんだよ?

「そうよね、柚葉。アタシも賛成よ。」

何、俺無視して、二人、結託してるんだよ?

「二人して何言ってるんだよ。無理に決まってるじゃないか。だいたいどうするんだよ?女としての生活って……?」

「アンタは、私たちの親戚の、そうね……、桔梗、『塚原桔梗』になればいいのよ。」

「桔梗ちゃんかぁ。可愛い名前だね、百合江さん。」

「そうでしょう。我ながら、ナイスネーミングだわ。」

ちょっ、ちょっと……。

何、勝手に二人で、盛り上がって決めてるわけ?

呆然と立ち尽くす俺をよそに、柚葉と百合江さんは、あれよあれよの間に、話が成立していく。

「…っ……。」

「あら?桔梗、どうしたの?」

「桔梗ちゃん?」

「…俺は、塚原桔梗なんて名前じゃない……。『小田桐』だ。」

そう怒鳴ると、リビングから、2階の自分の部屋に戻って行った。

チクショウ。

何で、俺がこんな目にあわなきゃならないんだよ?

それから、3日間、俺は、部屋から一歩も出なかったのだった。







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