君の一番近くで。
* 言葉(1/7)







***



多分だけど、俺、余計な事した気がする。



俺と汐音ちゃんは昨日、愁が汐音ちゃんのお姉さんと家の中に入っていく瞬間を見て盛大に誤解した。


間違えた俺は、愁と汐音ちゃんとの関係をより酷く切ないものに変えてしまったらしい。




……… あ、俺は川瀬遊佐。


愁の親友(だと思ってる)。




昨日の事が勘違いだと悟ったのは今日。


朝学校に来た愁を見て心底驚いた。


傷付いたような切ないような、苦しそうな。



いつも無愛想で周りから見たらクールって思われがちの愁が、今日は誰が見てもわかるくらい不機嫌だった。


何事かと焦り、汐音ちゃんの教室に行って分かった。

二人して同じように傷付いた顔をするもんだから嫌でも分かってしまうんだ。



きっと汐音ちゃんは、昨日会ったお姉さんと愁が両想いだと思ってて、自分は叶わない片想いをしていると思ってる。


それで愁は、汐音ちゃんへの気持ちを自覚した途端、俺に汐音ちゃんの気持ちが傾いたと勘違いしたんだろう。



見事にすれ違った二人の恋愛をきっと、周りの人は子どもだと言うんだろう。





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