妖魔の時間【番外編 2】
[微妙なキョリ](1/31)


【ここに来るのも久々だねぇ……君に会うのもだけど、さ】



長い黒髪を風に遊ばせながらにこりと女は微笑む。



【俺が何処にいようとあんたにゃ関係ないだろ?………でもまぁ、今日は会ってもしょうがないか】



岩の上に腰掛けている人影は肩をすくめた。



群青色の髪が風に揺れる。



月光を背後から浴び、その顔は見えないがどこか翳っているようにも見えた。



【墓石に座るなんて悪趣味ぃ】



【墓石って言っても形だけだろ?ここには何もない。あんたが持ってったから】



【望みを叶えてあげたんだよ】



そう言って、女──── 夜嗣の顔をしたそれは笑った。



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