時は国盗りが絶えぬ時代。銃声や爆音が止むことの知らない時代。若き男達は戦場へ招かれ、御国の為に命を捧げていた。故郷に残された家族は、敵国の襲撃に怯える生活をしていた。
ある晴れた日のこと、少女は働きに町の工場に出ていた。この少女の名は「ナツメ」という。ナツメは5人きょうだいの3番目、長女である。兄2人は兵として戦場へ行ってしまった。下のきょうだいは10歳と5歳で、本来ならば学校に通う年頃のきょうだいなのだが、それよりも今ある生活の維持で精一杯であった。今日も工場の仕事を終えたナツメは、家へと足を急がせた。