ごくあく戦隊 水彩儚詩
1[ どれが好み♪](1/4)
「くははは!地球は貰った!」
とある街中で歪な形をした怪物は叫ぶ。確かに今の状況、もとい惨状を見れば納得がいく。
目の前に広がっているのは、半壊したビル群と辺りを覆う黒煙だった。
「どうした!正義のヒーローはまだ来ないのか」
「…ァハハハッ!」
怪物がそう叫んだ時だった。何処からともなく聞こえる笑い声。
「虹色戦隊レインジャー参上!」
「ッく、来やがったか」
怪物は声の聞こえた方を振り返る。半壊したビルの上に立っている人影があった。街の人々の歓声が上がった。
「やったぞ!」
「これで助かるのね」
だが、その歓声も途端に消えた。何故なら、そこには、一人分の影しか無かったからだ。
それを見た怪物は奇怪な笑い声を上げる。
「くははは!どうした?お前だけか?」
「ええ、みんな逃げたよ」
「それはそうだ!何せこの俺様は、悪の四天王。『クライシス』の中では最も恐れられているのだからな!」
怪物は笑う。
「貴様等も他の三人を倒してきたようだが、俺は格が違うと察したのだろう!」
「いや、違うよ」
だがしかし、唯一人のヒーローはそれを否定した。
「みんなが恐れて逃げたのは、私だから」
そう言った瞬間に怪物の表情が強張る。
「いやね、あなたをどう料理、否、殺害しようかと考えてたらさ。
『そんなのはヒーローじゃない!』ってみんな泣きながらどっか行っちゃった」
酷いと思わない?と肩をすぼめた『彼女』は笑う。えげつなく、しかし、とても綺麗に可愛らしく笑う。
「だからさ!あなたに選ばせてあげる。撲殺、銃殺、踏殺、刃殺、抹殺、爆殺、絞殺、刺殺、秒殺、自殺、笑殺、離殺、壊殺、焼殺、滅殺、蕭殺、輪殺、内殺、哭殺、眼殺、獄殺、拷殺。
………どれが好み♪」

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