YELL
[ストーカーの俺と危機感のない君](1/2)
「千晃、俺たちの出会い覚えてる?」
「忘れるわけないじゃん。ストーカーされたんだもん笑」
人聞きが悪いなぁ。
あながち嘘ではないことが辛い。
「コンビニでよく見かけてた子が気になったんだから仕方ないでしょ?」
「ふふっ」
コンビニで見かけてた可愛い子、千晃に近づきたくて、様子を伺いタイミングをはかって、ある日コンビニを出た君に声をかけたんだ。
「店に飲みに来ない?」
アルコール好きは知ってた。
だいたいいつも缶チューハイやビールを買ってたから。
彼氏がいないこともなんとなく分かってた。
スーツ姿にしろ部屋着っぽい服にしろ、いつも一人か、たまに女の子としかいないから。
胡散臭げに俺を見て
「行ってもいいけど何屋さん?」
そう聞いてきた彼女に度肝を抜かれた。
「だって悪い人に見えなかったんだもん」
敬遠されなかったことは嬉しいけど、自分が可愛いという危機感がなさすぎな彼女に呆れる。
そのまま俺が経営してるBARに連れていった。
人懐っこい千晃は、店のアルバイトの日高ともすぐに仲良くなった。
店の客にしたくて連れてきたんじゃない。
だから告げた。
「店に来なくていいから、俺のマンションに来て」
この話はいま改めて思うとめちゃくちゃエロい感じだけど、その時はそんなことあんまり考えてなくて、日高と千晃を引き離すことしか頭になかった。
要するにただの嫉妬。
「好きだって言われてないのにマンションに来てだもんね」
もちろんすぐに、どれだけ千晃が好きかを伝えたよ。
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