Lisa
[異常](1/6)
「待ちなさ〜い、
私の楽しみを邪魔した罪は」
その先はよく聞き取れてない。
廊下を思いっきり走り抜けたから。
オッサンが俺を追うのをやめてリサの所に戻ったらどうしようかと一度振り返ったが、
どうやらオッサンの標的は完全に俺になったようでケラケラ笑いながらこっちに向かってきていた。
廊下にはいくつか扉がある。
どこかに隠れるか何なりかしてオッサンを撒いて、
早くリサを解放しに行きたいが、
無茶すると俺が殺される。
それにしてもヤケに床がぬるぬるしているな。
廊下だというのに大量に棚があるし。
何かを飾っているようで、棚には何かがたくさん並べられている。
あとなんか床が散らかっていて障害物となっている。
俺は部屋はいつも綺麗にしているタイプだから微妙にこういうことが許せない。
今はどれも細かく確認している暇はないからスルーして廊下を進んで行き、
適当な扉のドアノブに飛びかかる。
「えっ」
開かない。
ガチャガチャと音を立てるだけで、扉はびくともしない。
「くそっ」
「なぁにしてるんだい」
オッサンは扉が開かないことに焦る俺を見てニタニタ笑って、歩いてきている。
走って追う必要はないと判断されているのだろう。
俺はとにかくオッサンと距離を置くために全力で走り、
次の扉に向かった。
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