甘党作家と祈りの手首
[フリージアの店](1/11)
気がつくとすっかり陽は落ち、辺りは暗くなっていた。

「大分時間を取ってしまった。」

「お腹空きました。」

先程からグオオオオと凄まじい音が胃から発せられている。

空腹と疲れで足取りの重い私たちは、端から見ればゾンビが歩いているように見えるだろう。

足を引きずるようにして丘を下り少し歩くと、ようやく一件の家が見えてきた。




「ここがフリージアさんのお店でしょうか。」

「そうらしいな。」

辿り着いた店はこじんまりと可愛らしく、森の入り口にちょこんと建っていた。店の隣には畑があり、様々な野菜やハーブ、果実が実っている。


「ごめんくださーい!」

私はそう言いながらドアをノックした。いや、しようとした。普段日常で行っているように。



ガチャ

ガンッ

「ぶっ」


しかし、どうやら私がノックするよりも先にドアの方から熱烈な歓迎をしてくれたようだった。








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