甘党作家と祈りの手首
[葬儀](1/6)
美しく咲き誇る花々に癒されながら、フリージアさんのお店に向けて歩いている内に、だんだんと日が落ちてきた。
夕暮れ時の心地よい風に吹かれていると、
ガロォン…ガロォン …
と重厚だが神聖な、心に響く鐘の音が聞こえてくる。
その音の方向に視線を向けると、向こうから喪服に身を包んだ数人が丘を下ってくるのが見えた。
フリージアさんのお店はこの丘を越えた所にある為、私たちは道の途中でその人たちとすれ違う事になる。
「可哀想に…」
「まだあんなに若いのに…」
すれ違い様にボソボソと会話をする声が聞こえてくる。
「誰かのお葬式でしょうか…」
「だろうな」
短いやり取りの末に私と先生は、丘を登りきった。
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