甘党作家と祈りの手首
[プロローグ](1/5)
-ガタガタガタ-
このデコボコとした悪路を揺られること2時間。そろそろ私のお尻も悲鳴を上げている。
痛むお尻をさすりながら周りを見渡すと、狭い馬車の中を私と同じようにお尻の痛みに眉根を寄せている人々が何人か、ぐったりとした様子で揺られていた。
ふと横を見るとこれまたぐったりとした様子の先生が青ざめた顔で話しかけてきた。
「…おい。カトレアには一体いつ着くんだ。」
「もう少しのはずなんですけど…。ヤバい顔色ですけど大丈夫です?」
「…これだから馬車は嫌なんだ…」
先生は私の問いには答えず、ブツブツと独り言を言いながらまた目を瞑ってしまった。
私もこのどんよりと淀んだ空間に流石に疲れて、ふぅとため息をつく。
私達は今、ある事件の調査の為「カトレア」という村に向かっている。
どうぞ、神様。旅立つ私の身に何も起こりませんように。
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