夢見る私にささやいて
[Lesson 17](1/6)
「玲子さーん…玲子さん
おはようございます♪」
「…おはよぉ…ふぁ…」
窓から差し込む朝日に視界を奪われる。
パンの焼ける芳ばしい香りに、少しビターな珈琲の香り。
「朝食できてますよ?」
まだ眠い目をこすりながらキッチンへ向かうと、ゆったりとしたクラシック音楽が朝の始まりを告げる。
どーぞ♪と歌うようにダイニングの椅子を引き、晴海がエスコートしてくれる。
なんというか…
「ハイスペックか…」
「え?」
当の本人はなに食わぬ顔で、玲子の前に珈琲を置いた。
「晴海くんはすごいねぇ…」
「何がですか?」
「いやもぉ…なんて言うか…
何も言えないわ…」
まったくできなかった料理も、玲子の負担にならないように…と、始めたのだが…
やってみると案外面白かったようで、持ち前の器用さと相まってみるみると上達していた。
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