天才・新井場縁の災難
[追われる者…守る者…後編@](1/5)


晴天の元……草原の丘にあるベンチに一人の男の子が座っていた。

だだっ広い草原に回りは何もなく、どこか幻想的な雰囲気が漂っていた。

すると男の子の元へ一人の女の子が駆け寄って来た。

「エニシーッ!」

エニシと呼ばれる男の子は女の子に言った。
「キャメロン……」

キャメロンと呼ばれる女の子はエニシと呼ばれる男の子の隣に座った。

「エニシ、博士の課題は?」

「とっくに……キャメロンは?」

「私は……あと少し……。エニシ凄いねっ!いつも一番早くできちゃう……」

「そうかなぁ……嫌な事だから、さっさと済ますだけだよ……」

「嫌な事?エニシ、博士の事嫌い?」

「あんなジジイ嫌いだよっ!」

「私は博士の孫のエニシが羨ましい……私は博士の事尊敬してるから……」

ここで目が覚めた。

自分の部屋で目を覚ました縁は呟いた。
「変な夢……見ちまった……」

時刻は午前10時……明日はとうとう桃子のサイン会がある日だ。

縁はベットから起き上がった。
「あの頃の夢……チッ……」

軽く舌打ちをし、縁は着替えてリビングに向かった。

過去の事より現在の事だと、思いながら……。

リビングにはすでに桃子と母がおり朝食を済ませていた。

桃子に昨日の悲壮感はすでに無く、どこかスッキリした表情だった。

自分のすべき事がはっきりたからだろう……昨日の弱気な桃子はいなかった。

桃子は言った。
「今日はどうするのだ?」

縁は言った。
「今日は俺一人でいい……桃子さんは家にいろ……」

「何故だ?私も行くぞっ!」

「ダメだ……あんたは明日本番だぞっ!それに、あんたの身に危険が及ぶ可能性もある……」

桃子はなんとか食い下がろうとする。
「しかし……」

縁は突き放した。
「ダメだ……今日は俺の言う事を聞いてもらう……でないと絶交だ」

縁の絶交と言う言葉に、桃子は黙るしかなかった。桃子にはこの言葉が一番効く。

縁に絶交されたくない桃子は素直に従った。
「わかった……ただし、気を付けろよ」

「ああ……わかってる」

朝食を終えた縁は風の声へ向かった。

理由は、有村からメールでの呼び出しがあったからだ。

風の声に入るとすでに有村が待っていた。




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