天才・新井場縁の災難
[夏の屋敷と過去からのメッセージC](1/4)

……翌朝……

縁は自宅の自分の部屋で、考え事をしていた。

写真の裏に書かれていた詞を……。

縁は作治の残した詞を呟いた。
「『我が道は茨なれど…我子孫には花道を歩かせる…』か……」

「これにも何か意味があるはずなんだけどな……ん?そういえば、今って……」

その時下の階から、縁の母親が縁を呼んだ。
「縁っ!桃ちゃんが来てるわよーっ!」

どうやら桃子が迎えに着たようだ。

縁はドアを明けて母親に叫んだ。
「今行くよ!」

縁はそう言うと出かける準備をした。

準備をして下の階に行くと、リビングで桃子はモーニングコーヒーを飲んでいた。

縁は言った。
「おはよう、桃子さん……」

桃子は縁の顔を見て言った。
「おはよう……珍しいな……起きたてではないのか?表情がハッキリしている」

「ああ……今朝は早めに起きたんだ…」

「ふっ…いつもこうなら良いのにな」

縁の母親が桃子に言った。
「桃ちゃん、クッキーはいかが?」

「いえ、おば様……頂きたいのは山々ですが、すぐに行かないといけませんので……」

「あら……残念ね……」

「後日また……」

縁の母親は何故か桃子を気に入っている。

縁は言った。
「早く行こうぜ……」

縁がそう言うと桃子は立ち上がった。

それを見て縁の母親が言った。
「桃ちゃん……縁をお願いね」

「任せといて下さい……」

二人は縁の自宅のを出た。

縁の自宅を出た二人は、瑠璃の家に向かった。

瑠璃は今日は予定があったらしく、同行出来ないので、屋敷の鍵を借り、車を走らせて屋敷に向かった。

……雨家作治の屋敷……

縁と桃子は屋敷に入ると、すぐさま作治の書斎へ向かった。

縁は本棚を調べている。

本棚は3つ並べられていて、古い物だが高さがあり、それぞれ150cm程ありかなり大きい。

縁は言った。
「血痕の付いた本は一番上の段に入っていたようだな……」

血痕の付いた本は縦30cmはあった。あのサイズの本が入るのは一番上の段しか入らない……3つの本棚は全て同じタイプの本棚なので。
つまり血痕の付いた本は3つある本棚の上の段のどれかだ。

縁は呟いた。
「この段の本に血痕の……そして、この段の本だけが床に散乱していた……」

縁は顎をさすりながら険しい表情をしている。





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