縁、桃子、瑠璃の3人は資料室で事件の資料と睨み合っていた。
桃子が言った。
「それにしても暑いな……」
それもそのはずで、この真夏の真っ只中にもかかわらず、資料室の空調は故障中らしい。
熱のこもりきった資料室は、窓を開けていても暑い。
縁は言った。
「資料は一通り目を通して、気になるところはリストアップしておいたから……外に出よう……」
3人は資料室の窓を閉めて、外に出た。
外に出ると入口で有村が3人を迎えた。
「終わったかい?」
有村がそう言うと、縁が言った。
「有村さん……もう一つ頼みがあるんだけど……」
「何だい?」
「遺品の、血の付いた本を見てみたいんだけど……」
「本?」
「現場に残されていた、血の付いた本だよ……遺品のとしてあるはずだけど……」
有村は言った。
「う〜ん……わかったよ調べておくよ……僕はもう本庁に戻らないといけないから……」
縁は言った。
「じゃあ、手に入ったら連絡してくれ……」
「わかったよ……じゃあ、また……」
そう言うと有村は本庁へと戻って行った。
有村と別れた3人も百合根署を後にした。
時刻は午後1時を過ぎた頃だったので、3人は昼食をする事にした。
桃子は車を走らせて、適当なファミレスに入った。
ファミレスに入った3人は、奥にちょうどテーブル席が空いていたので、そこに案内された。
3人はオススメランチを注文した。
縁は言った。
「とりあえず、作治さんの身辺を調査していくか……」
桃子が言った。
「身辺?」
「ああ……資料にもあったけど、作治さんは亡くなる前に、家にあった高価な物などを売ったり……自分の会社まで売却してる……身辺整理をするように……」
桃子が縁に言った。
「自殺の可能性も考えられるぞ……」
「俺もそれは考えたが……無理だよ……」
「何故だ?確かに…傷は背中だが、不可能ではないだろ?」
「刃渡りが短くて、傷が浅ければ出来ないこともないよ……でも、凶器は刃渡り30cmの包丁だ……。しかも刺された角度は上から下に向けて刺されている……自分のてを使って刺す事は不可能だよ」
「では、何かトリックを……」
「仮に何らかのトリックを使って、自殺を他殺に見せる事は不可能じゃないけど……資料を見た限りじゃ、トリックに使えそうな物は無かったよ……」
桃子は完全に論破されて、黙ってしまった。
瑠璃が言った。
「でも、どうして身辺を?」
「身辺整理を済ました後に、殺されている……タイミングが良すぎるよ。それに、所持品はともかく……会社まで売却してしまっているのは、気になるなぁ……」
ちょうどその時ランチが到着した。
縁は言った。
「まぁ、とりあえず食べよ……腹が減ったら頭の回転も悪くなる……」
ランチが到着した事により、黙っていた桃子も復活した。
「そうだな、食べよう……ハンバーグが美味しそうだ」