シュンの恋 外伝1
[バレンタイン編 第1話](1/1)


 時は198X年九州の西部に位置するチョイと田舎町に純粋で純朴(どこがだよ)な少年がいた。


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今日はバレンタインデーである。

「おい、シュン」

「あ〜何?」

山田が通学路の途中でシュンに話しかけてきた。

「今日ってさぁバレンタインだよな」

「あ〜バレンタインデーだな」

(何を当たり前の事を言ってんだ)


「今年こそは、貰えるよなぁ〜」

(まぁ、リエさんはあげるだろうな)

「・・・・」

山田は、かなりテンションが上がっている。

「シュンは、いいよなぁ〜」

「?どうして」

「だってさぁ、メグミさんは勿論の事、意外に人気あるからさぁ〜」

「そうかなぁ〜」

「去年も、かなり貰えただろう」

「あ〜義理ならね〜」

「義理チョコでもいいじゃないか、俺は母ちゃんだけだったからさぁ〜」

「あ〜〜」

(可哀想なヤツ)

「でも、今年はさぁ〜」

「?今年は何?」

「まぁ、リエさんは大丈夫だと思うけど〜」

「まぁ、リエさんは山田にあげるだろう」

「うん、でもさぁ〜シュンみたいにさぁ」

「・・・俺みたいに何?」

「いや、止めとくよ虚しくなる」

「なんだよ、それ?」

「まぁ、いいよ、それじゃ、当番だから先に行くよ」

「あ〜分かった」

山田は、そう言って早足で先に学校に向かった。

暫くして、後ろから一年後輩の女子(幼馴染のアスカ)が声を掛けてきた。

「シュン先輩」

『ブゥ〜ン♪」

いきなり右上段跳び回し蹴りが放たれた。

〈チラッ〉

(白)

『バシッ♪』

「あっぶねぇ〜」

「あはははは、やっぱ先輩には止められるかっ」

「あのね〜いきなり跳び回し蹴りはヤバイって」

「あはははは、今度は当てるからね〜」

「・・・・」


その様子を見ていたメグミがブツブツ言っていた。

「何よ、あの子」

「まぁ、まぁ」

リエがメグミをなだめていた。

「シュン君もシュン君よ、朝から後輩の子とイチャイチャするなんて」

「あ〜あれはイチャイチャかなぁ〜メグ」

「だってさぁ〜も〜」

「牛によってるよ〜」

「牛にって、も〜リエ〜」

「あはははは」



キィ〜ン・コ〜ン・カ〜ン・コーン♪コーン・カ〜ン・キ〜ン・コーン♪

今日も微妙なチャイムが鳴っている。

『ガコッ♪』

シュンは下駄箱を開けてビックリした、その下駄箱の中にはチョコがたくさん入っていたのだった。

「あら〜」

シュンは一瞬身体をのけぞったが、他の男子の冷たい視線を感じ必死に冷静を装ってバックに一瞬でチョコを入れた。

その様子をメグミは下駄箱の端から優しく(優しくね〜)見つめていた。

『ジトッ』

「メグ、どうしたの?」

「いや、なんでもないよ、なんでもない」


メグミは不機嫌な顔をして教室に向かった。


(いま、一瞬、殺気がした様な?)


シュンはチョコをバックに入れ上履きを出そうとしたら下に封筒が置いてあるのに気が付いた。

(?・・・これは〜まさか)

シュンは、他の男子生徒に気づかれない様に一瞬で封筒をバックに入れた。

(まっ、まさかの、ラブレターかな?)

シュンは下駄箱の横に移動して、誰にも見られない様に封筒の中身を確認した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今日の昼休みに園芸倉庫の裏で

待ってます。

必ず来てね?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(こっ、これは〜〜)


シュンはにメッセージが書いてあった便箋を封筒に戻しバックに押し込んだ、その時リエが声を掛けてきた。

「あっ、シュン君、今何をバックに入れたの?」

「あっ、リエさん、なんでもないよ」

「へぇ〜〜なんでもね〜」

「うん、なんでもない」

「ラブレターとかかな〜」

「・・・・」

「やっぱ、ラブレターでしょ〜」

「いや・・・・」

「ラブレターなんだぁ〜」

「・・・・」

(相変わらず、しつこいなぁ)

「メグに言っちゃおうかなぁ〜」


「あっ、いや、それは〜」

「シュン君さぁ〜チョコたくさん貰ったでしょ」


「あ〜まぁ〜義理チョコばかりだろうけど」

「だから、メグが機嫌悪くなっていたのか」

「えっ、機嫌悪いの」

「かなりね〜」

(マジかぁ〜)
「なんで?」

「あ〜さっき下駄箱の所でシュン君を見ていたからね〜」

「みっ、見られていたのか」

「多分ねぇ〜」

「あ〜〜」

「それより、誰からなの?」


「・・・・」


リエは、ズイと近づいて聞いてくる。

「ねぇ〜誰からなの〜教えてよー」


(ちっ、近いな)

「いや、その〜」

「言わないとメグに言っちゃうわよ!」

「・・・・」
(それは、後から面倒だな)

リエは更に近いて聞いてくる。

「いいのかなぁ〜」

「わっ、分かったよ〜」

「やった〜」


『ブルン』
(相変わらず揺れるなぁ〜)

リエは、両手を上げて喜んだ。

(まったくだなぁ〜)
「リエさん、その〜実は誰からか分からないんだよ」


「どういう事?」

「差出人の名前が無いんだ」

「あ〜そうなんだ」

「うん」

「チョット見せて」

「あっ、いや〜」

「み・せ・て」

「・・・・」

シュンは、仕方なく手紙を見せた。

「はい、どうぞ」

リエは、手紙を開いて読んだ。

「あ〜本当だ、名前無いね」

「でしょ」

「それで、シュン君は行くの?」

「あ〜まだ、分からない」

「ここは行くでしょう」

「・・・・」

「行かないの?」

「う〜ん」

「気にならないの?」

「う〜ん」
(気にならない事はないけど〜)

「あっ、私が確かめてあげようか」

(面白そうだし?

「あっ、いや、それは〜」

(あっ、ヤベェ〜リエさんの目が)


「いや、リエさん、とりあえず行ってみるよ」

「そっ、そう!私も・・・」

「いや、俺一人で行くから着いて来ないでね」  
シュンはリエを優しく睨んで言った。

「・・・・あっ、でも〜」

「リ・エ・さ・ん」

「わっ、分かったわよ〜」


『キ〜ン・コ〜ン・カ〜ン・コ〜ン♪コ〜ン・カ〜ン・キ〜ン・コ〜ン♪』

「あっ、行かなきゃ」

リエとシュンは教室に向かった。

(あはははは、楽しみだわ〜)

リエは期待に胸を膨らませた。


     ・・・・続く・・・・




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