自分のことを知らなかった
知ろうともしていなかった
ただわかっていたことは
僕達は花であったこと
恵みを欲していたこと
雨を待っていたことだった
不規則ではありながら
それぞれの地で育つ花達は
雨を受け幸せを彩って生きていた
僕もまた幾度かの雨を受け
しぼんだ花を咲かせていた
乾季に入るとまたしぼみ
色褪せた僕は雨を待った
僕のまわりの花達もそうやって雨を待っていた
まわりの花達は確かに花だった
僕には自分の姿は見えなかった
花であることに疑問を感じることはなかった
幸せの形はそれぞれ同じ
欲しているものを手に入れられるかどうか
僕達は雨を欲していた
そう思っていた
確かに今まで雨を受けて幸せだった
ある日僕は雨あがりの水たまりに映っている自分の姿を見た
僕は皆と違った
僕はサボテンだったのだ
今まで欲していたものは偽りだったのか
少なくともこれからは
雨が降っても幸せを感じることはないかもしれない
雨を受けることが”幸せ”だという
固定観念の上にできた偽りの幸せだったから