骨を噛む
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大学を卒業して今の街に移り住んでから
2回目の冬が来ようとしていた。

地元とも4年間住んだ街とも色の違うその街は
同じ時期でも、地元より寒く去年より暖かい。



4年前のクリスマスに貰った
お気に入りのマフラーをぐるぐる巻いて
私はぎゅっと身を縮めた。
マッキントッシュの、何模様とも表しづらい
青とグレイとアイボリーの色をしたマフラー。



さむ、と呟きながら すっかり冷たくなった
iPhoneに指を滑らせる。
充電し忘れたまま家を出てきて
機内モードにしていたそれを解除する。



12時を過ぎたくらいの時間、
幾つかの公式アカウントからの

さほど代わり映えしない広告に
作業的に既読だけをつけてスクロール。






: 大雪。( )

: 樹が画像を送信しました







ぷかりと浮かんだお目当てのそれに

思わず口角が弧を描いた。





送信されてきた写真に写るのは
どこまでも続く白銀の世界。





















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