ミステイク(1/32)
「あ、お前、帰る時はオレンジ頭が電話よこせだとよ」
晴汰さんが急いで書いてくれたのか、電話番号がベラベラに書かれた小さな紙切れを渡してくれた真白。
ちょっと乱雑なそれは、頑張れば読み取れそう。
じーっと紙をみていると、横を通り過ぎていく男達。
「じゃあな」
「それじゃあ、また明日ね。お姫様」
「またな」
さっさと校門を出ていく真白に続いて、紫苑さんと蒼さんがそう言って去っていく。
チラッと一瞬私を視界に入れたはずの蓮見さんは、すぐに視線を逸らすと何も言わずに歩いていった。
「真白やっぱプリンよこせ」
「はあ?梓がいらねえって言ったから食ったし」
「死ねば?」
遠くなっていく声。
まさか皆一緒に帰るのかな、とか思っていたら、少し離れたところで、蓮見さんと蒼さんはそれぞれ車の後に乗り込んでいた。
真白と紫苑さんはそのまま賑やかそうな繁華街に向かっていったし。
現在時刻、7時5分。
夕日は既に沈み、目の前を通り過ぎるのは仕事終わりのお姉さんやおじさん達。
校門には、青葉第一高等学校、とか刻まれた見ず知らずの場所に私は紙切れ1枚と共に置き去りにされました。
p.82
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