真実(1/12)
────きらきらとビルの光や車のライトが夜の街を照らす。
見下ろしたソコは行き交う車で溢れていた。
何もかもが面倒くさくて、
何もかもを諦めてしまいたくて。
1歩を踏み出そうとした私は、ピタリと動きを止めた。
なんとなく呼ばれた気がして、視線を横にずらすと“誰か”がいた。
なんだか心配になった私は、柵に背を預けて座り込む影に近づく。
「あの、」
薄らぼんやりと、まるで膜に覆われたかのように声が響いていき、あまりの周りの静けさに気がついた。
あんなに車が通っているのに、そういえば音が全くしていないんだ。
p.15
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