牙龍(2/12)
─────ピピピピピ、ビビビビビビビッ!!!
段階的に激しい音を立てるそれを布団の中から手だけを出して止めるつもりが、勢い余って叩いてしまう。
ガシャっと音をさせはがら、目覚まし時計は無残にも机の上からこぼれ落ちて静かになった。
あーあ、また朝がきちゃった。
ふわりとあくびを噛み殺しながら、布団から這い出るとカーテンの隙間から朝日が覗いていて。
みゃーっと、甘えたような鳴き声に思わず微笑んだ。
視線をベッド脇に落とすと、電池が外れた時計の隣で、今か今かとそわそわしている子がいる。
「おはよ、ユキ」
そう声をかければ、ピョンっと身軽にベッドに飛び乗り私の膝の上で丸くなるユキ。
柔らかな白い毛並みを撫でてあげれば、ユキは水色の綺麗な瞳を満足そうに細めた。
可愛いなー。もう今日はこのまま家にいたい。
ユキを撫でながら密かに思っていると、コンコンっと軽いノックが聞こえてきて、ため息を一つ。
p.4
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