池上にお礼がしたくて土曜日に2人でおでかけ。
お礼されるほどのことしてないと言われたけど、オレにとってはやっぱり感謝してもしきれなくて。
「池上と2人ででかけるなんて初めてだよな」
「ほんとだよ。
なんでこいつと2人きりなんだよ」
「心の声だだ漏れてます、池上さん」
「だだ漏れてましたか、田中さんすいませんでした」
2人で笑って色々な店を回る。
ほんとこいつは整った顔をしているせいで周りからの目が痛い。
私服もかっこよくて、見惚れたほど。
「…なんだよ、ジロジロ見んなよ気持ちわりぃ…」
「心の声が痛いです、池上さん」
「今のは本音です、田中さん」
「やめてあげて!
これ以上オレの心の傷を抉らないであげて!」
「ははっ、お前の反応が面白くてつい。
なんで俺の周りって反応が面白い奴が多いんだろう」
小さく笑ってる池上をぺしっと叩く。
こいつはよく要ちゃんにもからかって笑ってる。
ドMとみんな言ってたけどドSだ。
昼を食べに店に入る。
池上も出すって言ってたけど、ここは
全部オレの奢り。
「ごちそーさん」
「おー、それよりお前髪伸びたな」
「な、いつの間にかこんなに」
肩に触れるか触れないかの長さで、池上は髪が邪魔なのか今日は髪を止めている。
男のロン毛はキモいと言うけど、こいつの顔立ちがいいせいか、むしろかっこよく見える。
「まぁもともと首が隠れるぐらいの長さだったんだけどな」
「なんで短く切らないの?」
「めんどくさいし美容院好きじゃないから」
長髪にメガネだと地味な印象があるけど、こいつは地味な印象は全くない。