「い、池上…くん…」
「ん?」
いきなり月野さんに呼ばれ、振り返ると真っ赤な顔をした月野さんがいた。
この子いつも顔赤くしてるけど大丈夫かな、と思わせるほど顔が赤い。
「あ、の…っ!
きゃっ…!?」
「危ない!」
クラスの人が月野さんにぶつかり、少しよろける。
月野さんは弱そうで、少しの衝撃にも倒れてしまいそうなほど。
だから俺は、咄嗟に月野さんを腕の中に治めた。
「大丈夫?」
「あ、あ…」
「…どうしたの?」
みるみるうちに更に赤くなっていく月野さん。
少し焦っていると、月野さんは俺の腕に体を預け、へにゃんと崩れてしまった。
「わーーー!?」
「池上くん!?どうしたの!?」
「つ、月野さんが…」
沙耶は俺の腕で崩れている月野さんを見て小さく吹き出す。
なにも心配いらないよ、と、沙耶の顔がそう言っていた。
「なにしてんだよ池上。
月野さん抱いて」
「ち、ちが…」
「池上くん、お願い、また保健室連れて行ってあげてくれないかな」
それはもちろんそうするつもりだったけど。
この子は本当に大丈夫なのだろうか。
見る度いつも顔が真っ赤で、そして倒れている気がする。
…もしかして何か深刻な病気でも抱えているのだろうか。
「…なぁ沙耶、池上ってすっげー鈍感だよな」
「ほんとにね…」
後ろで何か言っている2人も気になったが、それより今は月野さんが心配だったので保健室に行くことにした。