恋を教えて。2
[背の温もり](1/9)


「い、池上…くん…」

「ん?」

いきなり月野さんに呼ばれ、振り返ると真っ赤な顔をした月野さんがいた。
この子いつも顔赤くしてるけど大丈夫かな、と思わせるほど顔が赤い。

「あ、の…っ!
きゃっ…!?」

「危ない!」

クラスの人が月野さんにぶつかり、少しよろける。
月野さんは弱そうで、少しの衝撃にも倒れてしまいそうなほど。
だから俺は、咄嗟に月野さんを腕の中に治めた。

「大丈夫?」

「あ、あ…」

「…どうしたの?」

みるみるうちに更に赤くなっていく月野さん。
少し焦っていると、月野さんは俺の腕に体を預け、へにゃんと崩れてしまった。

「わーーー!?」

「池上くん!?どうしたの!?」

「つ、月野さんが…」

沙耶は俺の腕で崩れている月野さんを見て小さく吹き出す。
なにも心配いらないよ、と、沙耶の顔がそう言っていた。

「なにしてんだよ池上。
月野さん抱いて」

「ち、ちが…」

「池上くん、お願い、また保健室連れて行ってあげてくれないかな」

それはもちろんそうするつもりだったけど。
この子は本当に大丈夫なのだろうか。
見る度いつも顔が真っ赤で、そして倒れている気がする。

…もしかして何か深刻な病気でも抱えているのだろうか。

「…なぁ沙耶、池上ってすっげー鈍感だよな」

「ほんとにね…」

後ろで何か言っている2人も気になったが、それより今は月野さんが心配だったので保健室に行くことにした。





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