「今日も疲れたなー」
今は放課後で、少し残っていたから教室には誰もいない。
トイレへ行こうと席を立ち、1人で長い廊下を歩く。
「…ん?」
トイレの隣にある4組のクラス。
そこに人影が見え、それが一つに重なった。
窓は4枚あり、前の2枚は閉められていて中が見えない。
だけど後ろ側の窓が開いていて、前を通った時にちらりと見る。
「…え…?」
そこには、オレがずっと想いを寄せている人物がいた。
そして、教室にいる2人…伊織と女の子は唇を重ねていた。
伊織の手は女の子の胸を触っている。
「嘘だろ…」
見たくなかった。信じたくなかった。
女の子は苦手だって言ってたのに。
だけどどう見ても相手は女の子。
どうして。オレだけが好きって言ってくれたのに。
どうして。オレが他の人に抱かれたから?
今見たものを信じれなくて、信じたくなくて、トイレに行くのも忘れて走って家に帰った。
きっと、原因はオレにある。
伊織と別れ、他の人に抱かれ、そしてオレは伊織を突き放したから。
「…バカかよ、オレは…」
現実はいつもこんなんだ。
いつも残酷なことを押し付けてくる。
…幸せなんて、ほんの一瞬の出来事だったんだ。