快楽に溺れ、過ちを犯す生命体【アナザーストーリー】
[好きになったら血の繋がりは関係ない](1/1)
同じ過ちを繰り返してしまった…

ホントにオレはどうしようもないバカだ。

その日はまた朝まで母親と一糸纏わぬ姿で交じり合い、昼過ぎに目を覚ました。

で、起きた瞬間に罪悪感に苛まれる、こんな事を何度繰り返せば止める事が出来るのだろうか。

「あら、亮輔起きたの?」

母親はシャワーを浴びた後で、バスタオルを身体に巻いている。
髪をアップに結い、うなじの辺りが艶っぽく、大人の色香を漂わせている。

艶っぽいだろうが、大人の色香だろうが、相手は母親だ、それに欲情するなんて許される事ではない。

「ねぇ、亮輔。今日も泊まっていったらどう?」

母親はバスタオルを外し、保湿用のボディクリームを肌に塗っている。

しかも、オレに見せつけるかのように、乳房やウエスト、脚に塗り、椅子に座り、股を広げながら丁寧に肌のケアをしている。

母親の裸体は物凄くプロポーションが良いというワケではない。

程よい肉付きで、ムチムチしており、抱き心地が良い。

そして何より、男を悦ばせるテクニック、そんな事をされたらオレじゃなくても、母親の身体に溺れてしまうだろう。

「そういうワケにはいかないだろ。この前おじさんにも言われたじゃないか」

今日も泊まったらこのままズルズルとここにいそうになってしまう、それだけは避けたい。

「何言ってるの?そんなの黙っておけばいいじゃない…」

オレを挑発するかのような脚を広げ、花弁の周りを指で撫でてウットリとしている。

母親には息子と身体の関係を持つという罪悪感は無いのだろうか?

「前から聞きたかったんだけど、何で息子のオレとこういう関係になっても何とも思わないんだ?変だと思わないのか?」

オレは低血圧のせいか、目が覚めてもすぐには起き上がれない。ベッドで母親側に横になって母親の裸体を眺めていた。

今は裸を見ても何とも思わない。
朝方まで互いの身体を貪って疲れて寝てしまったせいもあるのだろう。


とにかくオレが知りたいのは、母親の本心が解らない、何故実の子供とセックスをするのか、一度聞いてみたかった。

すると母親はアハハハハっと笑い、あっけらかんと答えた。

「実の息子?それがどうだと言うの?私は亮輔とセックスしたいから、ただそれだけの事よ」

…おかしい、これが母親のいう言葉なのか?
オレたちは親子だ。しかも近親相姦という、決して行ってはいけない行為をしてるのに。

この言葉にガッカリというか、まるで心に穴が開いたようだ。
これが実の母親の言う事か?血の繋がりは何の意味も持たないというか、オレはベッドから身を起こし、母親にもう一度聞いた。
何なんだ、オレは母親の性欲処理の道具か?バカバカしい!

「罪悪感とかそんなもんはないのかよ!オレは終わった後にいつも罪悪感で後悔ばかりしているんだよ。そういう後ろめたい気持ちとか無いのかよ?」

罪悪感を持ちながらも、快楽の前でそれは無に等しい。

たかがオレの体内にある、ほんの少量の精液を放出するためだけに裸体に欲情し、タブーを犯している。

「なぁに、罪悪感って?何で罪悪感を感じなきゃならないの、貴方は?いい、亮輔。私はね好きになったら親子だろうが、兄弟だろうがそんなの関係ないの。好きだから亮輔とこういう事が出来て、私は凄く幸せなの」

モラルとかそういうものは無いのだろうか、オレは母親という存在に対して疑問を持ち始めた。

だからオレはマンスリーマンションから学校に通い、全寮制の高校を受験しようと思っているのに…

これが普通の親子ならばオレは何もわざわざ辺鄙な場所にある全寮制の高校なんかに行きたいと思わない。

だが、母親は違う。
血の繋がりなんてどうでもいい、好きなら交わるだけ、親だ息子だと関係ない、単に男と女だからそういう関係になる事に何の抵抗もない。

これが母親の本音なのかよく解らないが、オレはこの言葉でソッコーに着替え、帰る支度をした。

まさか実の母親がこんな考えの持ち主だったとは、オレは失望した。

「帰るよ。卒業するまでマンスリーマンションで過ごしてオレは全寮制の高校に行くつもりだから。こんな事をしていたらオレは間違いなくダメになってしまう。
もうここへは来ないつもりだから」


そう言い残してオレは玄関のドアを開け、バタン!と少し乱暴にドアを閉め、逃げ出すかの様に足早に母親のマンションを後にした。


好きになったら親子だろうが、何だろうが関係ない…

オレは帰りの電車の中で、ドア越しに映る住宅街を見つめながら、母親がまさかそんな事を言うなんて思ってもなかった。

以前から他の母親と比べて少し違うとは思っていたが、タブーを犯す事に何のためらいも無い…

ふと、車内の乗客を見渡した。

家族連れで席に座って、小さな女の子が父親と何かを話していた。

そして反対側の席では男の子に席を譲って、つり革に捕まって立っているお母さんが優しげな笑みを浮かべ、息子を見ている。

そうなんだ、これが本来の親子の姿なんだと。
思えばあんな年頃に母親とどこかへ行ったという記憶が全く無い。
物心ついた時から母親は水商売の仕事をしていたし、昼間は寝てるか、他の男と裸で抱き合っていた事しか思い出が無い。そうなんだ、ウチの家庭は他の家庭とは違うんだ、そう思っていた。
それが更に度を越えて近親相姦だなんて…


それに比べて、オレと母親は何て汚れた関係なんだ、あの家族達を見ていてオレは自分の存在が恥ずかしくなった。

(母親とヤッてるバカ息子…)

そんな声が聞こえてるかのような錯覚さえ感じる。

もうダメだ、あのマンションには2度と来ない。オレは受験生だ、勉強が第一であり、あんな事は勉強の妨げにしかならない。
最寄りの駅に着き、ドアが開いた瞬間、一番早く降り、改札を出て信号を渡り、コンビニに入った。

学校に通う以外はどこにも出ないで缶詰め状態になって勉強しよう、そう思い、夜食代わりになる物なら何でもいい、パンやおにぎり、カップラーメンやレトルトのカレー等、とにかく色々と買い込んでマンスリーマンションに着いた。

部屋に着き、着替えもそこそこに、すぐに参考書を広げ、勉強を始めた。

受験まで残り僅か、絶対に合格しなきゃならない。
オレに不合格は許されないのだ、そう自分に言い聞かせ、ひたすら机に向かい、問題を解いていた。



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