快楽に溺れ、過ちを犯す生命体【アナザーストーリー】
[おじさんには素直に話そう](1/1)
近親相姦という過去を絶ち切るために
おじさんには素直に話そう…

結局一晩入院という事でオレはベッドで点滴を受けながら、そう考えた。

このままだと本当に志望校に合格出来なくなる、
母親はそれを見越してあんな事を毎晩…

だとしたら、これは厄介だ。

オレは看護師に母親ではなく、
おじさんに連絡して欲しいと頼んで
ケータイの番号を書いたメモを渡した。

翌朝、徐々に回復してきたせいか、身体が動かせるようになった。

その日の夕方、おじさんはオレの入院している部屋に見舞いに来た。

「亮輔くん、熱中症だって?ダメじゃないか、ちゃんと水分補給をしないと」

オレの身を案じてくれたのか、おじさんは1人で病気に直行して来たみたいだ。

「あの、おじさん」

「どうした?まだ具合が悪いのか?」

おじさんは優しい、
おれの唯一の味方と言っても過言ではない。

「あの、母はここに来てませんよね?」

念のため、母親には連絡したのかおじさんに聞いてみた。

「あぁ、そりゃ勿論だ。お母さんにも連絡しないとな、
 何せ入院だからね。
 でもどうしてお母さんじゃなくおじさんに連絡したんだい?」

やっぱり正直に言うべきか…
いや、もし言ったら母親とおじさんの関係もおかしくなってしまう、
オレは他の方法でごまかすしか無かった。

「実はその…母が勉強の邪魔するんです…」

こんな事しか言えない、
具体的にと聞かれたら昼間から酒を飲んで絡んでくるとでも言うか、
実際昼間から酒を飲んでるのは事実だし。

「邪魔?お母さんが君にどんな邪魔をするというんだね?」

おじさんはベッドの脇にある椅子に腰かけてオレの話を聞いた。

「いつもは朝から図書館で勉強して夕方には家に帰ってくるんですが…
 その、母は昼間から酒を飲んでいて…
 夜部屋で勉強してると酔っぱらって、オレに絡んでくるんです。
 邪魔しないでくれって言っても、母が酔っぱらってるので…
 仕方ないから相手して、寝たらまた勉強するという毎日です。

 最近、少し疲れるなぁ、何て思ったら倒れてしまって…
 おじさん、オレは母が全寮制の高校に行くのを妨害してるようにしか思えないんです…
 おじさんからも言ってもらえないでしょうか?
 すみませんが、本当にお願いします」

オレはベッドから上体を起こしておじさんに頭を下げた。
おじさんは黙ってオレの話に耳を傾けてくれた。
そして腕組みをしてしばしの間、沈黙が続いた。


「亮輔くん、ホントの事を話してくれないかな?
 君が急に全寮制に行って、親元を離れるなんて何かあるのだろう、
 おじさんには正直に話してもらえないだろうか?
 勿論この話は私と君だけの話にする、
 だから正直に話してくれないかな?」

おじさんはオレと母親との間に何かあると感じたのだろう、
オレも唐突に全寮制の高校に行きたいだなんて言うから変だと思ったに違いない。

(やっぱり言うしかないか…
 でも…さすがにこんな事は言えないし。
 だが、これじゃ志望校には合格出来ない…)



オレはおじさんに母親との関係を洗いざらい話した。



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