快楽に溺れ、過ちを犯す生命体【アナザーストーリー】
[母の下から離れる為に受験します!](1/1)
ちょうどいい機会だ、
おれは母親とおじさんの前で受験する高校のパンフレットをテーブルの上に置いた。

「オレ、この全寮制の大学付属高校に単願受験する」

母親の表情が一変した。

「全寮制?何バカな事言ってるの!亮輔、あなたはこの家を出ていくつもりなの?」

オレは本気だ、これ以上ここにいたら本当にダメになってしまう。


「亮輔くん」

おじさんはそのパンフレットをパラパラとめくって話を続けた。

「全寮制でしかも奥多摩近辺にある自然に囲まれた学校か…どうしてこんな学校を受験しようとしたのかな?」

母親と違い、おじさんは冷静だ。


「亮輔!お母さんはそんな高校に行くのは反対よ!
何でこんな辺鄙なとこに行く必要があるの?あなたはここから出て行くなんて、絶対に許さない!」

ヒステリックに叫び、パンフレットをビリビリに破いてしまった。

言えない…まさかおじさんにオレと母親は近親相姦しているなんて、言えるワケが無い。


「落ち着け!とりあえず亮輔くん、ワケを聞かせてくれないか?何故、この学校を受験しようと思ったんだい?」

おじさんは取り乱す母親を落ち着かせ、この高校を受験する理由を聞いてきた。

(…まさか毎晩母親とあんな事しているなんて言えないし、どうしようか)

とにかくこの家から出たい、

誰も知らない場所で過ごしたい。

オレの学力なら、こんな場所じゃなくても近場で合格出来る高校は数多くある。

でも、それじゃダメなんだ、

中学を卒業したら、母親と離れて生活する、もう決めた事だから。

「オレ、環境を変えたいんです」

ここではっきりと自分の意思を伝えなければ、

母親は何を言っても許してくれないだろう、
だが、おじさんなら解ってくれるはず、だからここで明確な意思を伝えなければ。

「環境を変えたいというのは、どういう事かな?」

ハッキリと言うべきか?
…いや、それはいくら何でも無理だ!

とにかく毅然とした態度でこの学校を受験する理由、

それは母親から離れたい、その一言に尽きる。

「中学を卒業したら、ここを出て行くつもりでいます。
これは前から思っていた事です。
理由は母から離れる為です」

母親はこの一言にショックを受けたのか、テーブルに突っ伏して、ワンワンと泣き始めた。

「千尋、落ち着け!亮輔くんはもう義務教育を卒業するんだ、何も泣く事はないだろう!」

おじさんがいてくれて助かった、

もし、母親と二人きりで話をしたら、半狂乱になって話にならない。

「おじさん、オレは決して母がイヤになったからここを出て行くんじゃない、とにかくオレはここを出て、寮の生活を体験したいんです。
そして3年間ここに住んで、その大学に進学するつもりです。
オレにはオレなりの考えがあるんです、だからどうかこの学校を受けさせて下さい!」

オレは二人の前で土下座して頼んだ。

「亮輔くん、君の気持ちは理解した。だが、寮生活というのは共同生活だ、皆と同じ時間に起きて、飯を食って、掃除や洗濯なんかも自分でやらなきゃならない、それが出来るのかね?」


「…亮輔、お願いだからここを離れるのは止めて…
高校なんて行かなくていいから、お母さんとずっと一緒に暮らして、ね?」

母親が涙でクシャクシャになっている、だだっ子のような怒りや悲しみに満ちた無い表情だ。

「共同生活してみたいんです。
今までオレは決まった友達もいなく、いつも家に帰れば1人でした…
だから同じ年齢の人達と一緒に生活してみたくてこの学校を選びました」

オレは母親より、おじさんの目を見据えてハッキリと答えた。

やや間を置いて、お茶を飲みながらおじさんは口を開いた。

「そこまで言うなら私はもう何も言わない。
ただ、中途半端な気持ちで受験して寮の生活に合わなかったなんていう事は許されないんだぞ、それは解っているな」

いつもより厳しい口調だった。

「はい、そのつもりです。
ですからおじさん、母の事をよろしくお願いします」

オレは再度頭を下げた。



「…よし、解った!亮輔くんがそこまで思うのならば、その学校に行きなさい。
学費の事は心配しなくていい、その代わり受験に合格するようにしっかり勉強するんだぞ、いいな?」

「えっ?何で?何で亮輔がここを出る事を許すの、ねぇ、何で?」

母親は納得してない、

それは想定内だ。

だが、母親よりもおじさんを納得させる事、それが目的だったのだから。

「おじさん、ありがとございます。必ず合格してみせます」

言いたい事は言った。

後は勉強して、この学校に合格するのみ!

オレは今まで以上に受験勉強に集中した。

だが、それを妨害するかのように、母親は全裸に近い格好で毎晩オレを誘惑してきた…



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