ソウセイジ
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あかり”と“ひかり”


そう名付けられたあたしたちは、
一卵性の双子だった。



小さな頃のあたしたちは本当に
よく似ていて、

周りの人はもちろんのこと、
両親にさえ間違われることがあるくらいだった。



お揃いの服に、お揃いの髪型、
手を繋いで歩いているときに

お互いがお互いの名前で呼ばれると
顔を見合わせて笑った。




間違えられることは嫌いじゃなかった。

だって大好きなあかりと
あたしは似ているんだって、

なによりも実感できる瞬間だったから。





それでも、

間違え探しみたいに小さなことでは
あったけれど、

もちろんあたしとあかりは
違うところだってあって


外で遊ぶことがお互い好きだったけれど

あたしは鬼ごっこがいちばん好きで、

あかりはかくれんぼが好きだった。



あかりは絵を描くことが
いちばん好きだったし、

あたしは歌をうたうことが好きだった。




あかりは何か隠し事があると
耳を触る癖があったし、


あかり曰く
あたしは嘘をつくとき鼻を触るらしかった。




とても小さなことだけれど、

そうやって確かに違う
お互いのアイデンティティを

知っているのはあたしたちだけだった。



あかりと同じところ、違うところ

どっちも大切だった。

秘密基地の中で宝物を見せ合うみたいに
大事に共有してきた。




あかりしか知らないあたしがいて、

あたししか知らないあかりがいるってこと


素敵な物語の主人公を一緒にやっている
みたいだった。

毎日が楽しかった。





なにも、間違っていなかった。
失敗なんて、していなかったはずだ。

















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