漆奏
[決意旅立](1/6)
私は都内の某高校に通う17歳の女子高生。

家族は3人家族。

病気で入院中の母、いつも一緒に過ごしていた弟、そして私。

あれから一ヶ月。

あの日、ふらふらな足で警察に行き、捜索願いを出した。

どこか期待していた、それが唯一の希望だった。

しかし、あの日から今日まで一ヶ月、何も変わらない。

本格的に暖かくなり出した季節の境目。

桜が咲いてきたというのに。

未だに葉月は戻って来ない。

そんな時間がたつにつれて、私の心に住み着くソイツは成長していく。

大きな喪失感と絶望感。

この二つの感情を肥料として育っていく一つの芽。

黒い土に撒いた種。

葉月を失ったあの日から学校には行っていない。

担任や友達からの連絡をいつしか私は拒む様になっていた。

入院中の母には、あの日葉月と一度会ったきりで、それ以来会ってはいない。

純粋に怖かった。








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