義理ギリウーマン
[どうしてこんなに、苦しいの?](1/9)
家を出て行く決意をしてから数日、ちかさんに頼んで一緒にご飯を作らせて貰っていた。
家を出て行くまでは私も最後まで仕事をしたい。
ちかさんは料理もプロ並みに上手で、作るスピードもはやかった。
いつものようにご飯を食べて食器を洗ってお風呂に入って寝る。
こんなに当たり前の事がもうすぐできなくなるんだ。
皆とご飯も、もう食べれないんだ。
寝るときは特にぐるぐると考えてしまう。
同じ部屋でちかさんと寝ているため、泣く事もできない。
泣いてしまえば楽なんだろうけど、ちかさんは自分が追い出したんだときっと責任を感じてしまう。
私に気を使ってくれるちかさんの前ではため息すら躊躇われた。
眠れずに起きて台所へ向かう。
たまに1人でこっそり夜中に作って食べていた袋ラーメンを取り出して作った。
いつもの調子もでないし!
深夜だけどラーメン食べてお酒飲んで元気だそう!
ここをでて少し前の生活に戻るだけだ、どってことない!
「ふおぉぉ、 おいしそうううう。」
出来立てのラーメンとビールを持って一人の食卓に座る。
「いただきまー、、」
すと言いかけたところでリビングのドアが開いた。
「何してんのこんな時間に。」
力なくりっくんが笑った。
心なしかいつもより元気がないような、、。
「りっくんさんこそこんな時間にどうしたんですか?」
思わず箸を止めて聞き返す。
少しの沈黙が流れる。
ラーメンの湯気がゆらゆらと登っては消えて行く。
「店長にさっき告白した。
ダメだったけど。ちゃんとやっと自分の気持ち言えた。」
ふっとりっくんが笑顔を見せた瞬間。
泣きそうになっているりっくんを思わず立ち上がって抱きしめた。
「お疲れ様です。
お疲れ様です。お疲れ様です。」
何度もお疲れ様と伝える。
それしか言葉がでてこない。
どうしようもなく苦しくなって涙が溢れてくる。
「、、んで、、みゆが、、、
なんでみゆが泣くんだよ。」
りっくんの震えた声が耳元で聞こえる。
ああ、本当に。
本当だよ。
なんで私が泣いてるんだ。
私が振られたわけでもないのに。
でもりっくんの気持ちを思うと涙が止まらない。
りっくんの今の気持ちを考えると胸がぎゅっと痛いくらいに苦しい。
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