義理ギリウーマン
[最後の仕事](1/19)
偽善者と耳元で言った後、山下は急ぐように走り去って行った。
足の力が抜けてその場に座りこみそうになった瞬間、後ろから走ってきたこうちゃんとたっくーが腕を掴んで支えてくれる。
「っああ、ああ、、、っっはあ、、、
うあぁ、、」
言葉にならない悲痛な嗚咽をひたすら叫びつづける。
りっくんは走って外に山下を捕まえに行ったが、見つからなかったらしく戻ってきた。
「遅くなって悪かった、、警備員呼ばれてちょっとゴタゴタしてたんだ、、」
こうちゃんが訳を説明してくれる。
3人とも汗だくで本気で急いで探して駆けつけてくれたのが分かる。
「大丈夫、、じゃなさそうだな。」
りっくんが悔しくて泣きじゃくっている私の手を掴む。
「もうやめろ。
一旦帰るぞ。」
りっくんに手を触られて言われて初めて気がついた。
悔しすぎて拳をずっと握り締めすぎていたせいで、手のひらに爪が食い込んで少し血が出ていた。
たっくーが優しく手のひらにハンカチをまいてくれる。
手のひらなんか痛くなかった。
痛さなんて感じれない程に、悔しくて悲しくて怒りでどうにかなってしまいそうだった。
皆にありがとうが言いたいのに、まだ思考回路が回らない。
嗚咽で言葉が何もでてこない。
全ての感情を山下に飲み込まれてしまった。
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