ミルクをのみながら
[青色の色えんぴつ](1/1)
ぼくらは
36色の色えんぴつだった
持ち主は
かずちゃん

大きめのカバンに
ぼくらと
スケッチブックを入れて
いろんなところに
でかけた





川や丘

みんなの中でも
青色のぼくは
1番かずちゃんに愛されていた
どんどん短くなって

チビ!

なんて意地悪を言うやつも
いたけど
そんなのは
全然気にならない
だって
ぼくは
かずちゃんの手の
温もりを
誰よりも知っているから

そんなある日
ぼくを削りながら
かずちゃんがため息をついた

どうしたんだろう?

削る手を止め
ぼくを机の上に置いた
いつもの場所ではなく

なぜ?

かずちゃんが
部屋を出て行った

他の色えんぴつたちが
口々に声をかけてくれる

おーい!何かあったのか?
戻ってこないの?
なんとかいえよ
チビ!どうした?
かずちゃんどこ行ったのかなぁ

なんていったらいいのか
わからなかった
おいてけぼりのぼくは
不安で
寂しくて
悲しくて

それから
どれぐらいの
時間が流れたのだろう
返事をしないぼくにあきれて
みんな静かにしている
時々
ケースの中で
ボソボソと小声で話しているようだ

ガチャガチャ

かずちゃんが入ってきた
細長い封筒のようなものを
持っている
その中から
なにかをだした
新しい青色の色えんぴつだ
鉛筆削りで削ったあと
そいつをケースの中に入れた
みんなざわざわしている

よろしく!

なんて言ってる
え?
じゃあ
ぼくは?

捨てられるんだぜ

誰かが言った
そうか
ぼくは捨てられるのか
机の横にある
ゴミ箱に
ポイッと捨てられるのか

色えんぴつのケースの
ふたを閉め
いつもの場所に置いた後
棚の1番上にあった
きれいな箱を取り出して
ふたを開けた
かずちゃんは
そっとぼくを持ち

いままでありがとう

って
きれいな箱に
寝かせてくれた
そこには
いままでかずちゃんが
大切にしていたものが
たくさん入っていた
キーホルダー
バッチ
写真
ひまわりと朝顔の種
ビーズ
かわいいボタン

ようこそ!
かずちゃんの宝箱へ

ホッとして
うれしくて
からだがポッと
あたたかくなった

みんな!よろしく!



- 2 -

前n[*][#]次n
/5 n

⇒しおり挿入


⇒作品レビュー
⇒モバスペBook

[編集]

[←戻る]