透き通る灰色
涙 6/6
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「え、何?私が泣いとけばいいってこと?
水瀬くんのために?」
「あ、それも嬉しいかもしれない(笑)」
「うわ、絶対嘘じゃん(笑)
それより重たい」
「あ、ごめんごめん」
そう言って、水瀬くんは私の頬にキスをした。
びっくりして言葉を失っていると、ふふっと笑った水瀬くんの笑顔。
これだ、と思った。
貴方の笑顔を守るためなら、
泣いてあげる。
「いくらでも、泣くよ」
「うん」
きっと、ただ息をするように言った言葉だったと思う。
大した意味もなく「うん」と言ったんだろう。
それでも、水瀬くんに笑顔でいて欲しいと願う私は、それを肯定だと受け取った。
これでいいのだ、と自分に言い聞かせて。
その後は、ベッドに並んで二人で顔を合わせながら楽しい話をした。
手を繋ぎ、オレンジで満たされた部屋の中で吸い込まれるように眠りに落ちたのだ。
だけど、目が覚めると隣には誰も居なくて切なくなった。
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