透き通る灰色

 現実 7/7 

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「陽、死にたいの?って俺に聞いたことあるよね」



保健室の帰り。



確か私はそんなことを言った。




「死にたいとは思ってないよ」




だけど、と彼は続けた。












「死ななきゃいけないな、とは思ってる」









「あと、病気なのも本当」









「世間一般でいう病気とは違うのかもしれないけど()







自嘲気味に笑う水瀬くん。






なんで、なのだろう。



なんで、死ななきゃ、いけないのだろう。



なんで、病気だからって、なんで。








「でも、結局死にたくないんだよね()




「これがその証拠」






ああ、






もう、








嫌。







「もういい」








私は、最低だ。



聞きたくないと耳を塞いでしまった。



聞かない方が良かったと後悔してしまった。




彼に、全部吐き出させてあげることが出来なかった。



今ここに生きている彼に甘えてしまった。



未来がどうなるかなんて分からないのに。







「痛い?」



「痛くない」




痛くないはずなかったのに。


体だけじゃなくて。


きっと、一番は






水瀬くんは、いつ、泣いていたのだろうか。



タイムマシンがあれば、飛んで行って抱きしめるのに。


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